1.12経絡の流れを知ろう
4経絡で体全身を周り、それを3回まわっているのが12経絡。体には12対の経絡が流れています。
その経絡は、以下の4種類に分かれます。
手の3陰経、手の3陽経 / 足の3陽経、足の3陰経
またこの4種類の経絡それぞれ1経絡ずつが連なって体全身を回ります。
そしてそれを3回くりかえすのです。つまり、手の陰経→手の陽経→足の陽経→足の陰経で一回周り、また手の陰経→手の陽経→足の陽経→足の陰経で2回目、次に3回目と回っていくのです。
次に、この4種類の経絡には、流れの向きと経絡が始まる所と終わるが決まっています。
- 手の陰経は 胸→手先
- 手の陽経は 手先→顔
- 足の陽経は 顔→足先
- 足の陰経は 足先→胸
この順で回るという様になります。4の後、胸に帰れば、また「1.手の陰経:胸→手先」にいくわけですね(^^♪

例えば、「1.手の太陰肺経→2.手の陽明大腸経→3.足の陽明胃経→4.足の太陰脾経絡」と、4本の経絡で体全身を1周回っているのが、後は他のそれぞれの4経絡が2周回る事で、12経絡が体全身を3周回る事になります。
この流れを知る事で、次の経絡の大体の走行と向きが理解できてきますね。
では今回の本題、手の6経絡【上腕 前腕、手】について話していきましょう。
足には足の3陽経、足の3陰経の6経絡が走っています。
上記でお話した通り
経絡の流れは
①手の3陰経は 胸→手先
②手の3陽経は 手先→顔
③足の3陽経は 顔→足先
④足の3陰経は 足先→胸
の4経絡で体を一周、それを3回回って 12経絡になるわけですから、手の6経絡の流れは
①手の3陰経は 胸→手先
②手の3陽経は 手先→顔 になりますね。手の太陰肺経ならば 胸から始まり手先に終わるわけです。
上腕・前腕。手先に置き換えれば
上腕→肘→前腕→手首→手指が手の3陰経
手指→手首→前腕→肘→上腕が手の3陽経
になります。
まずはその向きを理解しましょう。
手の3陰経は、手の太陰肺経(写真では赤)、手の少陰心経経(写真では青)、手の厥陰心包経(写真では緑)、どれも足先から胸へ向かうのがわかりますね。ここでは手先から上腕までが確認できます。
手の3陽経、足の陽明大腸経(写真では赤)、足の太陽小腸経(写真では青)、足の少陽三焦経(写真では緑)、どれも手先から顔にいきますね
ここでは手指から前腕までが確認できます。
それでは手の3陰経について解説していきましょう。
今回のオンライン勉強会では手の3陰経なので、手の3陰経は
手の太陰肺経(写真では赤)→
手の少陰心経経(写真では青)→
手の厥陰心包経(写真では緑)→
について解説してきましょう(^^♪ 各経絡をクリックしていただければ、それぞれの経絡経穴の解説が見れますよ(^^♪
手の3陰経は他の手の3陽経・足の6経絡に比べ 一番経穴が少なく覚えやすい!
経絡経穴の覚え方…手の3陰経の経絡経穴を全部上げ、部位ごとに並べる
手の3陰経は胸から手先にいくそれぞれの経穴をあげるとこんな感じ。
手の太陰肺経(写真では赤)→①中附穴・②雲門穴・⓷天府穴・④挟白穴・⑤尺沢穴・⑥孔最穴・⑦列欠穴・⑧経渠穴・⑨太淵穴・⑩魚際穴・⑪少商穴
手の少陰心経経(写真では青)→①極泉穴・②精霊穴・⓷少海穴・④霊道穴・⑤通里穴・⑥陰郄穴・⑦神門穴・⑧少府穴・⑨少衝穴
手の厥陰心包経(写真では緑)→①天池穴・②天泉穴・⓷曲沢穴・④郄門穴・⑤間使穴・⑥内関穴・⑦大稜穴・⑧労宮穴・⑨中衝穴
計29穴しかありません。
この3経絡、経穴の数が少ないから(29穴)、最初から音読で覚えるのは効果的です。しかし他の手の3陽経・足の6経絡は数が多いから工夫が必要になります。その方法をこの手の3陰経を使ってご紹介しましょう。
先ほどお話しした通り、手の3陰経は胸から手先にいきます、経路は3陰経それも図のように並走するので、それも胸→脇(腋窩横紋)→上腕→肘→前腕→手関節→手指 を必ず通る事になります。このそれぞれの部位にあたる経穴を3経絡ごとにわけていきましょう(^^♪
これを表に表すとこんな感じです。
そしてもう一度全体像の3経絡の走行を見ると、
外側(橈側)が肺経 真ん中が心包穴、内側(尺側)が心経とまっすぐ並走しているのがわかりますね(^^♪
この表と大体の流れをイメージできるのが大切なんです。
さて ここで
- 3陰経のそれぞれの経穴の並び
- 部位ごとに経穴を分ける作業
- 胸から手先へ3経絡が並走している
がわかりました。今度は骨度です。
腋窩横紋前端~肘関節が9寸、肘関節~手関節掌即横紋が1尺2寸 となり、要になります。

肺経は腋窩横紋前端~肘関節(尺沢穴)まで9寸
肘関節(尺沢穴)~手関節掌側横紋(太淵穴)までを1尺2寸として図ります
心包経は腋窩横紋前端~肘関節(曲沢穴)まで9寸
肘関節(尺沢穴)~手関節掌側横紋(大陵穴)までを1尺2寸として図ります
心経は腋窩横紋前端~肘関節(少海穴)まで9寸
肘関節(少海穴)~手関節掌側横紋(神門穴)までを1尺2寸として図ります
骨度もわかりました(^^♪
今度は上肢の筋肉とのかかわりあいです。さて、上腕・肘・前腕・手首に関わる筋をこたえていきましょう。
※上肢の筋に関しては3月のオンライン勉強会で解説します
上腕の3陰経にある経穴に関わる筋 上腕二頭筋を中心に3経絡は走行している
手の3陰経が上腕を通る時に、一番関わるのが上腕二頭筋です。1経穴部位に関しては上腕二頭筋だけで大丈夫!
なぜなら、手の三陰経絡は上腕二頭筋に沿って走行しているからです。下記の写真が上腕二頭筋と上腕及び肘です。
上腕二頭筋はこのように肩甲骨の2か所からそれぞれ長頭(関節上結節より騎起始)・短頭(烏口突起から起始)に分かれて起こり、肩関節を跨ぎ上腕上部で2つの頭がくっつき、上腕二頭筋の筋腹となり、肘関節を跨いで橈骨に終わりました。その筋の走行はこんな感じですね。
この上腕二頭筋の走行がわかったころで、手の3陰経との関わりをご説明します。
手の3陰経の通り道をもう一度確認します。
こう見ると上手の3陰経は、かならず胸から手に行き、この3陰経は並列に沿ってます。(掌を上開けて腕を開けた姿勢で)上腕の内側に3陰経が通っています。
上腕の内側の一番外側を手の太陰肺経 真ん中が手の厥陰心包経 一番内側が手の少陰心経
と並びます。
この3経絡の線状がちょうど上腕二頭筋が重なる事になります。上腕二頭筋を3つの部位に分けます。これが手の3陰経と重なります。
上腕二頭筋の外側縁……………………………………手の太陰肺経
上腕二頭筋の筋溝(長頭と短頭の間から筋溝)…・手の厥陰心包経
上腕二頭筋の内側縁……………………………・……手の少陰心経
これが大切
つまり手の3陰経の上腕にある経穴ー互恵4穴はすべて上腕二頭筋上にあり
上腕にある手の太陰肺経の経穴ー天府穴・侠白穴ー上腕二頭筋の外側縁
上腕にある手の厥心包経の経穴ー天泉穴ー上腕二頭筋の筋長頭と短頭の間
上腕にある手の少陰心の経穴ー青霊穴ー上腕二頭筋の内側縁
にあるわけです
では次に肘の3陰経の経穴について考えてみましょう(^^♪
ただ、上腕のこの経穴部位を探るためには必ず、肘にある3経絡の経穴は必要になります。なので肘の3経絡の経穴を探りましょう。
肘にある3陰経の経穴 キーワードは上腕二頭筋腱と上腕骨上腕骨内側上顆
まず肘にある3陰経の経穴は、手の太陰肺経は尺沢穴・手の厥陰心包経は曲沢穴・手の少陰心経は少海穴になり、3つとも肘窩横紋上と同じ高さにあります(尺沢穴と曲沢穴は肘窩横紋上)←これをまず覚える!
キーワード1:上腕二頭筋腱に関わるのは尺沢穴と曲沢穴
上腕二頭筋は肩甲骨から長頭・短頭と起始し、上腕で2頭はかさなり二頭筋の筋複になり、県となって肘関節を跨ぎ橈骨に終わります
この肘関節(肘窩の上)を上腕二頭筋腱が跨ぐその両側の凹みが尺沢穴(外側の凹み)・曲沢穴(内側の凹み)になります。
経穴部位は、手の太陰肺経の尺沢穴は肘窩横紋上で上腕二頭筋腱の外方陥凹部、手の厥陰心包経の曲沢穴は肘窩横紋上で上腕二頭筋腱の内方陥凹部にあるわけです。
キーワード2:上腕骨内側上顆に関わる経穴は少海穴
肘窩横紋をそのまま内側になぞると骨にぶつかります これが上腕骨内側上顆です。この骨の輪郭をしっかり確認し、この上腕骨内側上顆の前縁が少海穴になります。
経穴部位は
手の少陰心経の少海穴は肘窩横紋と同じ高さで上腕骨内側上顆の前縁になります。
手の太陰肺経の尺沢穴は肘窩横紋上で上腕二頭筋腱の外方陥凹部
手の厥陰心包経の曲沢穴は肘窩横紋上で上腕二頭筋腱の内方陥凹部
手の少陰心経の少海穴は肘窩横紋と同じ高さで上腕骨内側上顆の前縁
しっかり確認しましょう!
この肘の3経絡の3穴がわかった所で上腕にある3陰経の経穴
上腕にある手の太陰肺経の経穴ー天府穴・侠白穴ー上腕二頭筋の外側縁
上腕にある手の厥心包経の経穴ー天泉穴ー上腕二頭筋の筋長頭と短頭の間
上腕にとある手の少陰心の経穴ー青霊穴ー上腕二頭筋の内側縁
を探っていきます
上腕にある手の太陰肺経 天府穴・侠白穴の経絡確認
この経穴は、すべて上腕二頭筋外側縁にあります。
そして、腋窩横紋から尺沢穴(9寸)を結ぶ線上にあり、腋窩横紋から下3寸にあるのが天府穴 下4寸にある経穴を侠白穴になります。
上腕にある手の厥陰心包経 天泉穴の経絡確認
合わせるとこんな感じです。上腕・肘の経穴部位はこんな感じになります。これで上腕の手の3陰経はいけますね(^^♪