坂本指圧マッサージ塾では毎月、「技術講習会」という指圧マッサージ技術を高める講習会を開催しています。
2025年2月は、腹部の指圧マッサージについて解説をしながら実践していきました。
そもそも「お腹」とはどこのことを指すのかを、確認しておきましょう。
お腹が痛くなった時に、おへそ辺りに手を当てますよね。お腹と言うと、体の前面をイメージしがちですが、私たち治療家が考える「お腹」とは、腰あたりや“脇腹肉”といわれる辺りも含めます。
肋骨や骨盤と違って、お腹周りにはそこを覆う骨がありません。不安定な状態ですね。こうなっていることで、腰を捻るなどの動きが自由にできるようになっています。
ということは、腰痛が気になる方もお腹の指圧マッサージが大事ということです。身体の部位を切り取って考えるのではなく(腰痛の患者さんだからといって腰ばかりを見るのではなく)筋肉の走行を思い出していきましょう。
お腹の指圧マッサージは大前提として、他の部位よりもゆっくりめでマッサージしていきます。
側腹筋(そくふくきん)…3つの筋肉(下に記載しています)で構成されています。実は前の筋肉より大事で、ここが硬いと腰痛や肩の動き(回旋)に影響が出ます。3つの筋肉の走行に沿ってマッサージしていくと効果が期待でき、筋肉の張りの解消につながります。
- 外腹斜筋:ポケットに手を突っ込む方向
- 内腹斜筋:外腹斜筋の反対
- 腹横筋:着物の帯のようにほぼ横に走っている。天然のコルセットとも言われます。
ちなみに腹直筋の外側は胃系経絡に該当するので、胃の調子を図るときにポイントになります。

腰方形筋(ようほうけいきん)…脊柱起立筋(背中の真ん中)のすぐ横。腰のようにも見えますが、お腹の一部としても捉えましょう。腰痛がある人はここがガチガチに張っています。
- 腹直筋の作用:骨盤の下の方から肋骨まで(下から上に向かって)ついている
- 側腹筋群:すべて肋骨から腹直筋に向かって走っている
- 腰方形筋:骨盤から肋骨の一番下についている。
つまり、お腹をゆるめるということは、肋骨のあたりをまずは緩めることから始まります。
お腹を自分でゆるめよう!セルフケア
座った状態でもできますが、仰向けがベストです。
- 肋骨のすぐ下をほぐす。指が入るといいが、特に肩こりが強い場合は張っている。
- そのままいわゆる腹部を腹斜筋の走行に沿ってほぐしていきましょう。
- 胸骨の中央から外に向かってほぐす。指を熊手のようにして、肋骨の骨と骨の間を掃除する感じで行います。
- みぞおちからおへその下までの縦ラインをなでたり、指圧したりしていく。
- 次の腹直筋の外のラインも同様に施術する(腹直筋のラインは、お腹に力を入れてみるとわかりやすい)。
前鋸筋(ぜんきょきん)をほぐしましょう。
- 手を脇の下に入れて、肩甲骨辺りから指でひっかけて前に持ってくる。指を熊手のようにして。肋骨の間の溝を狙うようにします。
- 徐々にスタート地点を下ろして、同様に前に持ってくる。肋骨に沿わすので、角度は少しずつ変わはずです。
- その続きで、外腹斜筋をほぐしていく。こちらは斜め下に向かって。
内腹斜筋:肋骨から外に向かってほぐすが、下から上に向かってもよい。(下からの方がやりやすいかも)
腹横筋:お腹を真横にほぐす
マッサージをやってみたら、上半身を左右にゆっくり捻ってみましょう。動きやすくなっているのではないでしょうか。
女性は男性より鎖骨が短い分、猫背になりやすいので、肩こりだけでなく胸を広げるためにも腹部のマッサージはおすすめです。猫背になると前鋸筋が固まりやすく、大腹斜筋も動きが悪くなり、お腹の動きも悪くなります。内臓の動きにも影響があるので、お通じが気になる方にもおすすめです。
力加減は、自分が気持ちいいと感じる程度から、やや強めがおすすめ。面が小さい部分(脇の下あたりなど)は強め、腹部の前のような面が大きいところは、それよりやややさしくしていただいても構いません。手のひらも、指を揃えた面で施術するのではなく、指を立てて鍵のようにして(何度も書いていますが、熊手のようにして)行います。
脇の筋肉は動きやすくするために薄くなっている分、冷えやすいです。
脇の筋肉の近くには腎臓があり、腎臓は冷えに弱いので、腎機能や頻尿などの悩みがある方も、しっかりほぐして温めておきましょう。
セルフケアを行ってから、ペアになって施術練習します。自分の身体でわからない状態で、他人様の身体を触ってわかるなんていう考えがあるとすれがば、それはおごり高ぶった気持ちがあるからです。
「全身施術」を謳っていても、お腹をしっかり施術する治療院は、決して多くありません。
一方で、世間では「腸活」「腸もみ」が流行っていて、腸内環境を整えたり、脳と腸が連携していることから、睡眠のお悩みを解消するために腸活をするビジネスマンも増えています。お腹の悩みは年齢性別問わず、多くの方がお持ちなので、これを機に、自信を持ってしっかり施術できるように練習しておきましょう。
毎月指圧マッサージ講習会を開催しています
2025年3月までは第3日曜に、2025年4月からは毎月2回、技術講習会を開催しています。
前日までにご予約いただければ参加していただけるのですが、坂本指圧マッサージ塾の講座が初めての方は、講習会の前に一度お越しください。
講習会では協調性をとても大事にしているので、初めての方は公式LINEの方にご連絡ください。
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