なぜ施術者の「指手の柔軟性・強度」が大切なのか
こんにちは。坂本指圧マッサージ塾塾長の坂本周平です。
日々の施術、本当にお疲れ様です。
私たちがクライアント様の心身に向き合う中で、最も大切な「道具」となるのは、私たち自身の手指です。
当塾では、「いかにして指に負担をかけず、効果的な施術をするか」を大切にお伝えしていますが、どんな手技を習得しても、指が弱く、硬いままでは、いずれご自身の指体に負担をかけてしまいます。
施術者の指手を守ることは、施術者自身の命を守ること。そして、触診技術や手技技術の向上、さらには自身の精神体のメンテナンスのためにも欠かせません。
そのために重要なのが、施術に耐えうる【指手の柔軟性、ある程度の強度】をつけることです。
この記事では、あなたの施術人生を支える大切な手指を守り育てるための「手を柔らかくし、ある程度の強度をつける運動」を、基礎編から応用編までご紹介します。ただし、力をつけることよりも、身体を緩め、柔らかくすることが大前提であることを忘れないでください。
体操を始める前の大切な準備:リラックスできる姿勢づくり

これから手と腕の体操を紹介しますが、まずは身体が緊張しないよう、リラックスした姿勢を作ることが重要です。
【基礎編】手指の血流を促す「グーパー体操」
最初にご紹介するのは、どなたでも行いやすい「グーパー体操」です。
侮るなかれ、やり方次第で手先の血流が劇的に良くなり、柔軟性が変わりやすい非常に効果的な体操です。
グーパー体操の手順
最初にご紹介するのは、どなたでも行いやすい「グーパー体操」です。侮るなかれ、やり方次第で手先の血流が劇的に良くなり、柔軟性が変わりやすい非常に効果的な体操です。
【グーパー体操の手順】


1.スタート(パー): 準備の姿勢から、肘を軽く伸ばし、手のひらを上に向け、軽く「パー」の状態にします。
2.グーの動作: 手首を曲げながら、肘も曲げ、手を握っていきます。
【ポイント】 小指から順番に握り始め、最後に手首も曲げ切り、親指で強く握りしめます。
3.パーに戻す動作: グーの状態から、今度は徐々に指を広げていきます。
【ポイント】 ここでも小指から順番に広げていきます。
4.最終形(パー): 最終的には、指と指の間隔を開けきり、手首・肘もできるだけ伸ばして元の「パー」の姿勢へ戻ります。
【応用編1】手の平の深部筋を強化するグーパー体操


基礎編が慣れてきたら、より手指の細やかな運動を意識した応用編に移りましょう。この応用編は、手の中の深部にある筋肉(手のひらの筋肉)を主に強化し、柔軟性を高めることを目的としています。この筋力は、指にかかる圧を分散させるために非常に大切です。
【応用編1の手順】
指先を広げる(パー): 手のひらを前に向け、指を反り返るくらいまで目一杯伸ばし、指と指の間隔も最大限に開け切ります。手のひらの付け根のふくらみ(画像の赤い部分)を前に突き出すイメージで広げます。
指先を集める: 指は伸ばしたまま、手首と手のひらだけを曲げ、5つの指の先端を前でゆっくりと集めていきます。指先がつくか、つく直前まで。
元に戻す: ゆっくりと元の「パー」の体勢に戻していきます。
【応用編2】前腕と手の筋肉を総合的に強化するグーパー体操
応用編の2つ目は、前腕から起こる手指を曲げ伸ばしする筋肉と、手の中の広げ・閉じる筋肉の両方を強化し、円滑な動きを目指す体操です。


【応用編2の手順】
指・掌を広げる(パー): 応用編1と同じく、指が反り返るくらいまで目一杯広げ、手首も伸ばした「パー」の姿勢からスタートします。
第1・第2関節を曲げる: 5本の指を曲げ、まず第1関節・第2関節だけが手のひら側につくように曲げます。
【ポイント】 この時、第3関節(指の付け根)と手首・手のひらは曲げず、反り返るようにキープします。
第3関節まで曲げる: 次に第3関節まで曲げ、握りしめます。この時も手首・手のひらは曲げずにキープします。
完全にグーの体勢へ: 最後に、手のひら・手首まで完全に曲げ切り、「グー」の体勢を取ります。
継続こそが手指を守る最善のケア
今回、あなたの指を守り、質の高い施術を継続するための「手を柔らかくする運動」を、基礎・応用と3つのパターンでご紹介しました。| 基礎編:グーパー体操(基本) | 手先の血流改善と柔軟性向上 | 小指から順番に握り、小指から順番に広げる。深呼吸と合わせゆっくり行う |
|---|---|---|
| 応用編1:指先を集める動作 | 手のひら内部の深部筋の強化と柔軟性向上 | 指を伸ばしたまま、手首・掌だけで曲げ伸ばし。指と指の間隔を最大限に開く |
| 応用編2:段階的なグーパー | 前腕〜手の中の筋肉の総合的な強化と柔軟性 | 第1・2関節から曲げ始め、手首・掌は最後までキープし、最後に曲げ切る |
最初は普段あまり使わない筋肉を使うため、きつく感じられるかもしれませんが、慣れていくうちに手の柔軟性は上がり、指は確実に強化されていきます。
指を痛めない、身体に負担をかけない施術を実現するためにも、日々の施術前後の習慣として、ぜひこの体操を続けてみてください。
あなたの施術家としてのキャリアを、長く健康的に続けていくことを心より願っています。