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より良い施術のための指の柔軟性と脳の活性化:手先と脳を鍛えるトレーニング

より良い施術のための指の柔軟性と脳の活性化:手先と脳を鍛えるトレーニング

こんにちは。坂本指圧マッサージ塾の塾長、坂本周平です。

指圧マッサージや整体をおこなっている施術者の皆さんが、ご自身の指体に負担をかけず、より効果的で質の高い施術を提供するためには、日々の地道なトレーニングが欠かせません。


指を傷めない指圧のために、そしてご自身の指体に負担をかけない施術のための「グーパー体操」の基礎と応用をご紹介しました。

実は、この指先のトレーニングこそが、脳の柔軟性を高めることにも繋がり、施術の質を格段に向上させる鍵となるのです。


▶ 施術者の指にも負担をかけない「手を柔らかくする運動」基礎から応用まで徹底解説


今回は、手先の柔らかさを強化することが、なぜ頭の柔軟性(脳の活性化)に繋がるのかという理論的な背景から、実際に手先と頭を同時に鍛える具体的な体操、さらにストレッチを加えた応用的なトレーニングまで、全3回にわたる内容をまとめてご紹介します。

より円滑に、効果的に施術を行うための、手先と脳の柔軟性を高める方法を学んでいきましょう!

手先の器用さと知性の関係性:なぜ指を柔らかくすると頭も柔らかくなるのか

より良い施術のためには、手先の柔軟性に加え、施術を円滑かつ効果的に行うための頭の柔軟性も非常に重要です。なぜなら、指の体操こそがそのまま頭の体操に繋がるからです。


人間と動物を比較した際、人間が身体学的に優れている点は、「脳(知能)」と「指手先の器用さ」です。文明がここまで発達した背景には、この知能の高さがありますが、私はこの高い知能は「手先の器用さ」を獲得した賜物であると考えています。


太古の人間は、他の動物に比べて筋肉や俊敏性などに劣る弱い存在でした。外敵から身を守るために木の上で生活するようになり、その生活に適応するため、木の上のものを取ったり、子育てをしやすくするために手先が非常に器用になっていきました。


猫の鎖骨脳への血流


解剖学的に見ると、手先が器用になるためには、肩にある鎖骨と肩甲骨の発達が不可欠です。人間は他の動物に比べて鎖骨と肩甲骨が発達しており、これによって指・手・腕を自由に大きく動かすことができるのです。


さらに、鎖骨が発達し肩幅が広がることで、首元(デコルライン)が広がり、脳に行く血流量が円滑に流れやすくなり、結果として脳が発達しやすくなった、とも言われています。サルや人間が他の動物より知能が高いのは、この肩周りの発達とも関係があるのです。


つまり、手先を細やかに、そして大きく動かして鍛えることは、施術における効率を高めるだけでなく、脳を柔らかくさせ、発達・維持させることにも非常に効果的なのです。指先から腕を大きく細やかに動かし、頭も手も柔らかくしていきましょう。


手先と脳を同時に鍛える「数を数えるグーパー体操」

前回までの基礎的なグーパー体操を習得した上で、さらに手先と頭を同時に動かし柔軟性を高める体操をご紹介します。


この体操のポイントは、「手先を細かく、大きく動かすこと」と「数を数えること」です。


1. 体操の手順

  1. 手のひらを上に向けて指を大きく伸ばし開きます(パーの姿勢)。手首や手のひらも大きく広げましょう。
  2. 親指以外の4指にはそれぞれ先端、真ん中、根元の3つの関節(節)があります。合計で 4×3 = 12個の節が存在します。
  3. 小指の先端の節(1つ目)に、親指の指腹をしっかり密着させるように当てます。
  4. 親指で節を押さえた後、再び手指を大きく広げたパーの姿勢に戻します。
  5. 次に小指の真ん中の節(2つ目)、根元の節(3つ目)と、親指で節を一つずつ順番に押さえます。
  6. この過程を、小指から人差し指の根元の節まで、計12回のすべての節に対して行います。

2. 効果と習慣化

この体操では、節を一つ一つ確認しながら親指の指腹で押さえるという細かな手の動きと、押さえる度にパーの姿勢に戻るという大きな手の動きを組み合わせることで、手先の感覚と柔軟性を養います。さらに、節を押さえる際に「数を口ずさみながら数える」ことで、脳を使い、頭の柔軟性も高めることができます。

最初は2~3回繰り返すだけでも疲労を感じやすいですが、慣れないうちはゆっくりとしたリズムで3往復程度から始めましょう。
これを習慣化することで、より頭と手先は柔軟性を増し、効率の良い施術に繋がる大きな一歩となります。

手指の体操
手指の体操
手指の体操

指の負担を軽減する「ストレッチを意識したグーパー体操」

次に、指先・手のひら・手首へのストレッチ要素を加えることで、指手の柔軟性を格段に上げ、指の負担を軽減させるグーパー体操をご紹介します。


【ご注意】 慣れないうちは無理をせず、軽いストレッチから始めましょう。基本的なグーパー体操や手を軽く温めてから行うことをお勧めします。無理に行うと指を痛める可能性があるため、痛みを感じたらすぐに中止してください。

1. 体操の手順(1クール)

  1. 準備: 机の上にタオルを厚めに敷きます。その上に指先を揃え、中指がタオルにつく程度に指を立てて置きます。手のひらと手首は立てたままにします。
  2. 指の伸展: 立てた指を、第1関節から順に第2、第3関節へとゆっくりと伸ばしていきます。特に第3関節(指の付け根)を意識して伸ばし、指の付け根までタオルにつけます。(無理のない範囲で)
  3. 手のひら・手首の伸展: 次に手のひらをゆっくり伸ばし、最後に手首を伸ばして、手首から指先まですべてタオルに密着させます。この動作で指先から手首までをストレッチします。
  4. 指先を立てる体勢へ: 指先・手のひら・手首がすべて密着している状態から、最初の指先を立てる体勢に戻します。
  5. 指の屈曲(グー): 今度は指を第1・第2関節(同時で可)から順に曲げ、次に第3関節を曲げて、拳(コブシ)をタオルの上に密着させます。
  6. 手背の伸展: そのまま手の甲部分、そして手首(手の甲側)を順にタオルにつけていき、手背部(手の甲)を完全にストレッチします。(無理のない範囲で)
手指の体操

手指の体操

2. 効果と継続

この①~⑥の動作で1クールです。1クールが終われば、再び指をタオルの上に立てる最初の体勢に戻り、動作をゆっくり繰り返します。


指先・手の甲・手のひら・手首までを深くストレッチするこの体操は、続けることで指手の柔軟性を劇的に向上させます。手首や指先の柔らかさは、指にかかる負担を軽減させるだけでなく、体のメンテナンスにも非常に有効です。ぜひ、日々のトレーニングとしてお試しください。

まとめ

より良い施術を提供するためには、「指体に負担をかけない施術」が不可欠であり、そのためには日々の指体の柔軟性の強化が最も大切です。そして、手先のトレーニングは脳の活性化にも繋がり、施術の効率と質を向上させます。


施術者の皆さまには、まず基礎的なグーパー体操で指体の柔らかさを養い、次に「数を数えるグーパー体操」で手先と脳を同時に鍛え、最終的に「ストレッチを意識したグーパー体操」で指手の負担を軽減する柔軟性を獲得していただきたいと願っております。


指と脳の柔軟性を高めることは、施術者としてのキャリアを長く続けるための土台となります。ぜひ、今日からこれらの体操を習慣化し、より質の高い施術を目指していきましょう。

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